持久力トレーニング or 筋力トレーニング

前回に続き、同じ著者のドクターが”Endurance Plus Strength”という記事をアップしていたので、注目してみます。タイトルは”持久力トレーニング プラス 筋力トレーニング”と訳してみます。


どんな種目の競技であっても以下の二つの能力とトレーニングは必須項目です。

持久力トレーニングによって自分のパフォーマンス能力を今よりも長い時間維持し続けること

自分の能力を突破して、より強い負荷に耐えられる身体を作ること

長い時間自分のパフォーマンスを維持するのか、短い時間だが、自分の持っている力をより高みに引き上げるのか。この二つのトレーニングの位置づけは相反するものです。例えて言うなら、一つ目はマラソンですが、二つ目は100mや200mの短距離走になります。

しかし、厳密には短距離走であっても、自分のパフォーマンスを長い時間維持(わずか10秒足らずの間ですが)する必要がありますし、長距離走であっても、早く走るためには持久力だけでなく、自分の身体的能力を向上させる必要があります。どんな競技においても持久力と身体の強化は必要不可欠なものです。ただ、そのバランスが異なっていることは注意してください。

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実は持久系トレーニングはやり過ぎると、身体の最大能力は低下していき、身体の最大能力ばかり強化すると持久系能力は低下してしまいます。

つまり、有酸素運動は有酸素能力を高めるけれど、無酸素能力は低下させ、無酸素運動は無酸素能力を高めるけれど、有酸素能力は低下してしまいます。

自分自身でトレーニングを考えたり、学生アスリートたちのコーチングをする人たちにとっては、この問題は常につきまとうのではないでしょうか。そして、多くの人達がこの相反する能力を強化させるバランスを探しています。

                     

前回にも述べましたが、筋力トレーニングや自分の能力の限界を打ち破り向上させるトレーニングは回復に48時間が必要です。その間にさらに限界を超えるためのトレーニングを組むことは、自分や選手の能力をさらに下げる結果になることが多いでしょう。(ただし、オーバートレーニング状態に陥ると、脳の活性化作用によって、一時的な能力の向上が見られ、成績があがるかもしれません。その場合には、時間とともに能力は下がっていき、回復しない体になるので注意が必要です。)

さて、前回は筋疲労には脳が関わっていて、脳のコンディションはトレーニングの質にも影響することを伝えましたが、もう一つ、トレーニング中のホルモンバランスについても考えなくてはいけません。特に無酸素運動や筋力トレーニング、自分の身体能力をさらに強くするようなトレーニングを行う場合です。(以下筋力トレーニングとまとめます)

性ホルモンの中でもテストステロンとストレスホルモンとされるルチゾールが産生されます。テストステロンは持久力トレーニングでも産生されますが、筋力トレーニングで特に多くなります。コルチゾールはトレーニングを含むすべてのストレスで多く産生されますが、特にレースの前にシリアスになっていると産生量も増え、多すぎると一時的にオーバートレーニングと同様に能力が向上します

コルチゾールが上昇すると、性ホルモンの中でもアルドステロンが減少してしまい、結果的に性ホルモンバランスはどんどん崩れていってしまいます。そして、もう一つ重要なホルモンはインスリンです。インスリンは糖質を分解する際に膵臓から放出されるホルモンですが、コルチゾールの産生量を増やす効果があります。過剰な炭水化物や、精製された糖類などを摂取するとインスリン量が増加するとともに能力の低下も引き起こされてしまいます。

これらの事から、一回のトレーニングセッションの中には持久力トレーニングで始まり、筋力トレーニング(Strengthトレーニング)を挟んで、持久力トレーニングで終わる形が良いと単純に考えられます。簡単に言えば、ウォームアップで必ず有酸素運動を行い、間のトレーニングでは無酸素を含めるか含めないか。そして、最後には必ず有酸素運動で終える。と言う形になります。

注意してもらいたいのはここで書いている筋力トレーニングは必ずしもウェイトトレーニングでないことです。例えば、サーキットトレーニングは筋力トレーニングに入るでしょうし、30mダッシュや坂道ダッシュと言ったトレーニングも筋力トレーニングに入ります。これらは自分の身体能力を向上させるものですよね。

 

                            

 

そして、糖類の過剰摂取における問題は、僕はよく指摘し続けていますが、私たちが日常摂取しているほとんどの糖類は健康にとって問題のある糖類であることをいつも念頭に置く必要があります。そして、プロから一般までのアスリートを起用した食料品や飲料のCMはまるで、スポーツアスリートも愛用しているかのような印象を与えますが、そういった製品においても健康的なものとは言えず、スポーツアスリートにとって弊害となるものがほとんどでしょう。

 

糖類がどれほどの食料品に使われているのか、意識を向ける必要があります。

  • 飲料水・ジュース
  • シリアルやコーンフレーク
  • マフィンなどパン類
  • クッキー
  • 離乳食や子供用のお菓子
  • 飴やお菓子類

多くのアスリートが日常よく摂取しており、中には糖分の摂取がリラックスやコンディションを向上させるために必要不可欠であると錯覚している人たちもいます。

 

多くの場合に糖類による影響は軽視されがちです。

ホルモンバランスの調整や成績を残すためにも糖類の過剰摂取には気を付けるべきです。

 


ソース:http://philmaffetone.com/endurance-plus-strength