正常な筋疲労 vs. 異常な筋疲労

秋になると多くの人達が一年を振り返り、自分の健康について考える機会があるでしょう。こんなに過ごしやすい季節なのになぜ運動をしていないのか。今年、どれほど運動ができたのか。そして、冬までにどれくらいの身体が作れるのだろうかと考える人たちもいるかもしれません。

 

久しぶりに運動すると経験する”筋肉痛”。運動後から筋肉痛が早く生じることで、自分はまだまだ若いと感じる人もいるかもしれません。が、年齢と筋肉痛の発生する時間の速さに関連性については最初に否定しておきましょう。筋肉痛が早く生じるのは決して若い証拠ではないのです。

 

また、ウェイトトレーニングをしている人たちや普段のトレーニングと異なり、強い負荷のトレーニングをした後、あるいはレースに出場したりした後に体の筋肉は悲鳴を上げ、痛みやダルさを生じたりするでしょう。中には痛みやダルさを経験することで筋は次回さらに強くなると考えている人もいるかもしれません。

 

今回はそれらについてDr.Phillip Maffetoneの記事を参照しながら正常な筋疲労と異常な筋疲労について述べていきます。

 

人によってトレーニングの目的は様々です。

  • ダイエットのため
  • 不健康から脱出するため
  • 様々な大会に出場するため
  • 大会での結果をより良いものにするため
  • 強い身体づくりのため
  • etc

 

様々な目的があり、それぞれに考えを持ってトレーニングに取り組んでいることでしょう。

今回の記事は全ての段階における人たちに共通して当てはまることを書いていきます。決して運動の初心者にだけ当てはまる問題ではありません。もし、これを読んでいるあなたがより強い段階に進みたいと望んでいて、トレーニングの間隔やペースについて考えているのならば、参考してみてください。

 

自分の身体を強くしたい、健康にしたいと望んでいるのならば、トレーニングの内容や頻度はとても重要です。強い負荷のトレーニングはあなたの身体をより強くしてくれますが、”強すぎる”負荷のトレーニングはあなたの身体を強くしません。それどころか、障害を生じ、怪我の発生頻度を高めてしまうでしょう。

 

 

筋肉は運動によって少なからず疲労してしまいます。また、筋線維そのものも千切れてしまっているでしょう。運動時には血液中の乳酸も高まり、酸性に傾いてしまいます。乳酸がすべて悪いのではないですが、酸性に傾いている身体は身体の疲労を助長する原因となるでしょう。

 

筋肉の疲労は決して悪いものではありませんが、過度な負荷あるいは、過酷なトレーニング・レース後の筋疲労は明らかに異常を呈しています。ひどい疼痛や強い疲労感は異常な筋疲労と言えるでしょう。その状態でさらにトレーニングを行うのは、筋肉は弱いために負荷に耐えれず、靭帯、関節、関節軟骨、骨などの多くの組織に異常な負荷を与えてしまいます。結果的に、疼痛や炎症を発してしまったり、傷んでしまった組織は修復に時間がかかるために長い間パフォーマンスは下がり続けるでしょう。

 

健康な筋疲労では、次の段階では筋をより強くし、関節や靭帯への負荷を軽減してくれ、パフォーマンスを継続的に(一時的にではなく)向上してくれるでしょう。

 

 

通常筋の回復には48時間必要です。それ以上もの間、筋の疲労感や違和感を感じ続けている状態は正常な筋の回復を呈していないことが容易に想像できます。その状態はパフォーマンスを著しく下げているばかりか、トレーニングの効果を得ていません。筋疲労が高まっている状態では、脳の働き、自律神経系の働きも著しく阻害されるために、適切な運動や効率の良い運動ができていません。それが結果的に怪我にもつながりますが、トレーニングを考えることも困難になっているかもしれません。

 

適切なトレーニングとは

 

適度であり、適切なトレーニングを行うには常に考えていなくてはいけません。時にノートにトレーニング内容とその時のコンディションを記入しておくことも効果的かもしれません。これは、トレーニングの頻度の問題でないことに注意しましょう。

 

身体能力を向上させるためのトレーニングは、HMR(心拍計)を用いていない人たちでは、常に自分の疲労具合を確認しておく必要があります。脳の疲労具合、思考力の低下、全身のダルさ、筋肉痛、細かな運動の可否。現在の状態に適したトレーニングの負荷を選択する必要があります。必ずしも、疲れていて、思考力が低下しているから、ウェイトトレーニングをするのが得策とは言えません。

 

 

適した頻度は人によって異なりますが、厳しいトレーニングの後は特に注意を要するるでしょう。48時間経った後にも回復の兆しが出ていないようならば、厳しいトレーニングからその後の内容について再考の余地があります。

 

 

トレーニングの問題で自分の成績が伸びないのか?

 

どうして自分の能力、成績、実力、健康が伸びないのか。という疑問は常に持ち続ける問題でしょう。調子が良かったのに、いつの間にかトレーニングの効率もあがらず、能力の向上が見込めなくなることはよくあることです。

 

その時には、まずはトレーニングの内容ではなく、自分のライフスタイルについて検討する必要があるでしょう。次の厳しい段階に進みたいけれど、進めない、結果が出ない自分がいるのは、いくつかの問題があります。もしかしたら、生まれ持った、あるいは以前から持っている持病に原因があるかもしれません。そのことについても留意する必要があります。

 

タバコ、カフェイン、アルコール、睡眠。これらの要素は必ず心身にダメージを生じ、パフォーマンスを下げてしまいます。嗜好品を絶っている人においては睡眠を適切に摂れているかどうかがカギになるかもしれません。睡眠は10時半~とるのが理想的です。11時以降の真夜中に眠る習慣があるのであれば、あなたの身体は適切な機能を果たしているかどうかわかりません。

 

食事性因子においてはどうでしょうか。一般的によくあるのはビタミン・ミネラルの不足が多いです。理想的には一日に10人前の野菜と果物を摂りましょう。(合わせて10人前)

 

持病が自分の能力の向上を妨げている可能性も有ります。内臓疾患の履歴や糖尿病、心臓疾患は明らかに自分の能力の向上を妨げてしまいます。それらの因子があるのならば、先を急いだトレーニングを組むのは得策とはいえません。